My役所ライフ

役所生活30数年のエピソードを通じて、役所でのちょっとした仕事のコツや活き活きと働くヒントを紹介します!

お役所仕事ってなんだ?

 

 遅れず、休まず、働かずが、お役所で働くこつだと言われる時代があった。不況になると「公務員って、適当に仕事しても首も切られず給料もらえていいですね」なんて、露骨に言われることもあった。

 

   仕事が楽だったことはひとつもなかったので、すごく嫌な気分だったなあ。確かに、公務員の仕事って、数千円の文具を買うのにも見積もり合わせが必要だし、新しい事業をするには議会で予算を承認してもらわなければいけない、その後も法律等で手続きが厳格に定められ書類が多いなど、民間企業とは異なる、見えにくい部分で時間を使うのだけれど。

 

   それでも最近は役所内でも、スピード感をもって成果重視で取り組もうと目標管理制度や業務改善など民間経営手法が導入されるようになった。

 

   それはすごく大事なことだけど、

   もう定年になった先輩が

「役所の仕事にスピード感といっても、なかなか計画どおりに進むことなんか、ないんだよなあ」と酒を飲みながら言うことに、まあねとうなずく自分もいる。

 

「民間なら、勝てるところに集中的に投資をし、見込みのない事業は早々に撤退するけど、市民や企業が役所に求めるのは、社会の流れに乗り遅れた分野をどうするかということやからねえ。そんなところほど、利害関係者も多くて、おまけに生活弱者を対象とする場合が多いわけだから、無茶なやり方はできないわな」

 

「思い切って整理するにしても、対象者や支援者の納得は絶対必要。 これには時間が非常にかかる。事態を今より改善するためには、砂漠を緑化するつもりでお金もかけないといけない状況もある。そして役所に借金が残る。関係のない多くの市民は何やってるんだということになる」

 

 「まあ、現役はたいへんやなあ、がんばれよ」という気楽な励ましには、いいわなあ、皆さんは、退職金、年金を満額もらえて退職して、(しんどい仕事を残したままでとは思いませんが(笑))、僕ら65歳まで年金も無支給やでえという言葉を飲み込みつつ、はいはいと受け流す。

 

 人口が減少、少子超高齢社会で役所の仕事はますます繁盛。行財政改革で予算も人員もかなり減ってしまった中、スピード、効率、成果が最重視しないと仕事は回らない。

 

 だけど、市民の役に立つところと書いて、お役所。時間をかけることをただ是とすることもなく、切り捨てる決断もただ是としない、第3の方法を模索しながら、役所に働く以上、役所って役に立つところだなあと言われたいですね。