意識の壁
財政危機により行税制改革を、組織を挙げてしなければならなかった時、当時のトップが上杉鷹山を引き合いにだして話をしたことがありました。
上杉鷹山は、改革を妨げる3つの壁があるといっています。物理的な壁、制度・法律の壁、そして、意識の壁です。
物理的な壁は、ベルリンのような壁です。これはがんばればつぶせます。また制度・法律の壁も改正すれば可能です。
でも、最もやっかいなのは、3つめの意識の壁だというのです。従来、できないもの、してはいけないものと決めつけている個人の意識であり、組織風土です。
過去にとらわれずゼロベースで考えて、取り組もうと言われました。
その後、有名なたとえ話で、水槽にいれられたカマスの話を知りました。水槽に、透明のしきりをいれて、一方にカマス、もう一方に餌をいれます。
カマスは、餌をとろうとしますが、透明のしきりにぶつかります。何度も何度もぶつかります。
そのうち、カマスは、しきりがあることを学習して、もう餌をとろうとはしません。そうしたら、そのしきりをはずして、あらためて餌を同じところに置いても、カマスは、しきりがあるものと思って、餌もとらず、じっとしたままでいる!というものです。
部下の打ち合わせを聞いていたり、外部への説明を聞いていたりすると、実は、物理的な支障もなく法的にも問題はないのに、前例にこだわり、できないと結論づけているケースがある気がします。
その時に意識の壁を思わずにはおれないのですが、部下にすれば前例を盾に断ることが仕事を増やさないから楽という面はあるものの、その一番の原因は、管理職達が、日常的に、もしもの最悪を全部つぶすようなネガティブ議論をしかけ、石橋を叩いてつぶす組織風土を作っているからではないかと思ったりします。
ところで新しい組織の管理職になり、このことを一番自戒して、「やったらいいやん、やれやれ!」と部下と接している訳ですが、「現場の苦労も知らんと好き勝手言わないで」と部下の顔をいがませてしまうこともあるのですね、これが(苦笑)