話し方の練習はしてますか
話し上手な上司がいた。市民向け講座や職員研修で率先して講師をつとめ、笑顔を絶やさず、わかりやすく話をする。随行していて、いつもすごいなあと思った。
「どうして、そんなに話が上手なのですか」と尋ねると
「練習したら誰でもできますよ。あなたも話し方教室に行ったらどうですか」
話すという行為を練習するなんて思いもしなかったが、薦められるまま僕も応対研修やプレゼンテーション研修などに参加し、興味を覚え本も読んだ。
ところが、それらの多くは、話は起承転結でまとめよとか、相手の話をきちんと聞く傾聴が大事とか、相手が必要と思うことを話せとか、話の中身に関することで人としての姿勢・資質に関わることが多く、一朝一夕に習得できるものは少なかった。
でも、やっぱり話しは、最低限、自分の言いたいことをきちんと言える(伝えられる)ようにするのはすごく大事。そのため精神論ではなく、僕なりに、気を付けておくだけで改善されると思う点は次のとおりです。
まず、話し始める言葉のトーンを少し高めにすること。相手に威圧感を与えず、自分も高揚するので、話が進みやすい。もちろん、状況を考えてのことだけど。
次に、なくて七癖というように、自分の話しクセを封印すること。多くの人は、えーと、あのうが実に多い。あるいは、~ですからと文章を続けまくるので、何を言いたいのかわからず、文章の区切れがない。それらを封印して、ワンセンテンスを続けてしゃべることを意識しましょう。また、話はじめに「でもね」と始める人も多いが、喧嘩を売るしゃべり方なので封印。
自分のクセを封印することで、相手がしゃべっている最中でも、次の言葉は何をしゃべろうという反撃をする意識が落ち着くし、相手も聞きやすくなる。
それから、つい思ったことをズバッと言いすぎる人向けには、自分の主張を断定口調にせず、語尾に「~かもしれないね」「という考えもあるかなあ」を付ける。
そして、できるだけ、ゆっくりしゃべるなど。これらに気を付けることで、一方的なしゃべりから「対話」になりやすいです。
自分の話し方の特徴を考えて、いくつかの機械的なパターンを決めておくと格段に話がうまく聞こえますよ。
マラソンを始めるならランニング教室に行く。練習をすれば速く走れる。料理も自己流もあるけど、上手い人のマネをする方が絶対においしいものが作れる。話し方だけが話せてるからと軽視される理屈はないと思う。
ところで、その上司は、子どもの頃、吃音に悩まされ何とか克服したと思ったら、係長試験の口頭試問では緊張のあまりまったく受け答えができず、周りを心配させた経歴の持ち主だった(と別の人から聞いた)。どれだけの練習されたのでしょうか。