My役所ライフ

役所生活30数年のエピソードを通じて、役所でのちょっとした仕事のコツや活き活きと働くヒントを紹介します!

「直せる失敗なんか気にするな」親父の一言

 結婚する前、実家から役所にかよっていた新人のころ、残業して遅く帰ると、居間でくつろいでいる親父と話すことが多くなった。

 父は僕が就職したと同時に早期退職をしたところで、第2の職場に移ったものの、まだまだ現役みたいなときだったなあ。

 

 大学時代には、どの若者も思うように、親父の話は狡猾な大人の世渡り方法みたいで正直うっとうしかったのだけれど、家に帰って、おふくろの作ったご飯でビールを飲みながら、今日はこんなこと失敗したとか、これまでなら絶対言わないようなことが口からでて、親父に話していたのだった。

 

 昨年の資料を修正して使ったところ、「たくさんの部長が出席する会議の資料で、日付を間違って書いてしまってたんや」とビールを飲みながら僕。

 プロ野球速報を見ながら、「なんや、そんなん、日時が間違っていました、このように資料の修正してくださいと言えばしまいやないか」と親父。

 

 そりゃそうかもしれんけど、間違ったら恥ずかしいし、あかんやろうと思うところに、「失敗しないに、こしたことはないけど、そんな失敗これからいくらでもあるで。修正したら済む失敗なんか失敗のうちに入らんで、そのために上司もおるんやからな」と、また親父。

 

 今でもこんな会話を覚えているのだから、それで救われたのだ、なんてこともないのに。

 

 それから、もう一つ、今も大切にしている親父が言っていたこと。

「わからないときは、上の人に聞くことや。向こうの方が経験も多いし情報も多い。とはいえ、身構えると相談もしにくいし、相手も簡単には教えてくれないから、一緒にご飯を食べにいったときとか気楽なときに相談するようにしてみ」

 上司の部屋をノックして相談にも行きにくいから、そういうことかと思って、そうしていたのだけど、最近、この意味するところが解る(その話は別の機会に)。

 

 その親父が早期退職をした歳に自分もなった。

 親父は、その間、数度のがんの手術をしたものの、まったく元気で、ゴルフや旅行、そして、頼まれ仕事も楽しそうにこなしている。

 今たまに聞く親父の話は、大好きな童話を聞く子どものような気持ちで受け入れている。

 そして、このブログは僕の子供たちにとっての童話になるのだろうか。