My役所ライフ

役所生活30数年のエピソードを通じて、役所でのちょっとした仕事のコツや活き活きと働くヒントを紹介します!

人を動かす変な方法

「自分は、こんなに正しいことを言っているのに、どうして、わかってくれないのだろう」とか、「上役というだけで、自分がなんでも正しいかのように、人のことを聞かないのってどうよ」、なんて思うことが誰しもありますよね。

 

人の理解を得るのは難しい、まして、自分の思うように動いてもらうことはもっと難しい。ところが、変な主張なのに、なぜか、うまく取り入って話をまとめてくる奴もいて。若い時は、そんな不合理で村社会のような人間関係を嘆いたりもしますよね。

 

今もコミュニケーションにかける時間やコストが省けたら、もっと仕事が効率化できるのにと思いつつ、おい、そこの若いやつ、もう少し早めに話をもってこいよ、話をはしょりすぎやろとしばし思うようにもなり。

 

仕事がなぜかうまくこなせる人間と主張が立派な割に物事をうまく進めない人間との差は、どこにでてくるのでしょう。

 

正面から誠心誠意話すことは大事ですよね。目上の人に必死で訴え、「お前に任せよう」というのは立志伝の定番です。

でも、相手が利害関係人だと、そう簡単なことではない。

 

ある人のやりかたは、相手がそのことを問題視する前から、雑談の中で、その話をさりげなく持ち出し、こうなったらいいですよねということをつぶやきつづける。そんなものかなあと相手は特に気にもしていないけれど、その人の潜在意識に残り、数か月後、その人は自身の主張として話してしまうというもの。

この気が長い作戦は、しかし、うまくいっているのを目撃したことがあります。偉い人って、突然、「この件をどう思いますか、どうされる予定ですか」などと誰かれに聞かれることがあって、とりあえず何か言わなければというとき、とっさに、前に聞いたことを口にしてしまうのです。こうなると、その人は、あたかも自分がそう思っていたように、その案をしゃべり、自分で自分を納得させていくらしい、、、

 

別の人のやり口。Aさんがいうことを聞いてくれない時は、複数の第3者に、愚痴を言いまくる。時には悪口を。あるいはAさんが上の人なら、Aさんはすごいけど、自分では、それを受け止められない、困った、困ったと嘆き続ける。

その第3者はAさんに彼がこんなこと言っていたよと伝える。仲介に乗り出す人もでてくる。Aさんが気の優しい人なら、悪評が立つのがいやだから、妥協する。間に入った第3者に、「この人は料簡の狭い人だ」と思われたくないから、手を緩めてくれるというものです。

 

役所経験を通じて、こんな強者を何度か見てきたけれど、自分にそんな駆け引きができる胆力もなく(やれる人はどうぞ)、安易に人に踊らされないようにしようと学んだだけですが。

それと、こういう風に物事が解決していく様をみて、もう一つわかったことは、学校のテストとちがって、世の中、正しい答えが一つとは限らないってことです。

だから、いざというときにわかってもらいたければ、日頃からのコミュニケーションが大事だってことだけは、間違いないです。