My役所ライフ

役所生活30数年のエピソードを通じて、役所でのちょっとした仕事のコツや活き活きと働くヒントを紹介します!

働く意味

 同じ夢を何度も見るということがありますよね。僕の場合、寝坊して大学の講義に間に合わない、用意しようとしたら、さて時間割もわからない、このままだったら単位もままならないと焦っている夢です。

 

 寝坊したら休んでいたという以外ほぼ大学時代そのもので、単位を取れればそれでいいという感じでした。その一つに、授業に2/3以上出席すれば必ず単位をあげますという評判につられ、他学部生であったけれど、受講したのが労務管理論でした。

 

 講義は、照明の明るさを時々変えると労働の効率性があがるというテイラーシステムに始まって、人間が生きる動機は、生理的な欲求に始まり、それが満たされると安全を求め、次に、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現欲求に高まっていくというマズローの欲求5段階説などと進んでいきました。教科書どおりで、テストもなんとかなりそうだなあと思っていたところが、最後の授業で。

 

 ― 皆さん、人間は本当に段階をおって欲求を満たすためだけに生きているのでしょうか。そのために仕事をするのでしょうか。フランクルの「夜と霧」という本があります。ナチスユダヤ人収容所という生命さえ脅かされている極限状態にあっても、音楽を演奏し人を楽しませ、自分の食事を他人に分け与え、励ます人達がいました。どんな状況にあっても生きる意味があります。

 同時に、どんな仕事でも働く意味があります。生活もままならない収入の仕事でも、精神的に追い込まれるような仕事でも、誇りをもって活き活きと働いている人を皆さんも知っているでしょう。

 ぜひ、皆さんが社会にでたら、何かを得るために働くのではなく、Meaning of Workを見出して、Quantityではなく、Quality of Lifeを大事にしてください。 ―

 

 この講義を今も覚えているのは、大学3回の後半で、自分の進路を考えなければならないにもかかわらず、モラトリアムな人生への未練絶ちがたく、ぜんぜん就職への具体的な意向も夢も持てずに、悶々としていた時期だったということがあります。

 

 で、そのせいかどうかはともかく、公務員になった訳ですが、Meaning of Workという言葉は、実家の柱に貼ったままの古い御札のように、今も僕の心の隅っこにくっついています。正月など節目節目に、ふっと目の前に現れては、問いかけてくれるのです。

 

 本年が、皆様にとって、楽しく仕事ができる年でありますように