My役所ライフ

役所生活30数年のエピソードを通じて、役所でのちょっとした仕事のコツや活き活きと働くヒントを紹介します!

役所の中で戦略ってなんだ

 いま外郭団体で勤務していることもあって、改めて経営の本を読んでいます。

その中で、役所でも、よく言われながらなかなか縁遠いなあと思ったのが戦略です。

 

 戦略とは、勝つために明確な目標(ゴールとする場所や数字)を設定し、所有する資源(人、金、資材など)をどう振り分けていくかということのよう。

 ある戦いにおいて、自分の力が相手を完全に上回っていれば、全ての戦場で正面からぶつかって力で圧倒し、全戦を掌握する。一方、逆の場合、例えば5つの戦場があれば、そのうち3つを選択し、そこに力を集中させることで、3対2で勝つことを目指す。

 また、選択する戦場は、自分の得意とするところを基本とするほか、相手が数で上回っている場合は、広い場所での総力戦をせず、狭隘な局地戦に持ち込む。相対できる人数を制限することで数の論理を克服する。そして、局地戦に一つずつ勝利をしていけば、数の大小は克服できる。

 

 ひるがえって、役所では相手に勝つとか負けるという発想の業務はほとんどありません。そして、総合行政なので、あらゆる分野に対し、限られた予算や人をまんべんなく振り分け、やりくりします。どの分野も十分ではないけれど、必要最低限は確保されている状態を目指しがちです。これは福祉や環境といった基礎的な分野では理解しやすい。

 

 ゆえに、役所では戦略的な思考回路が育ちにくいのが実情ではないでしょうか。とはいえ、自分の担当するフィールドでは、与えられた人員と予算を戦略的に活用し、ビジョンを達成、すなわち勝つことを目指さないといけない。勝てるところはどの部分か、予算も人も少ないのだから、レバリッジに成り得るトリガーを探し、そこで勝利し次に進んでいくといったストーリーが必要なのでしょう。

 

 自分の組織運営はどうかと考えると、課や係の人数は硬直的で、それに対してA係にはこの仕事とこの予算、B係にはこの仕事とこの予算と、その器ごとに、目いっぱいの課題を詰め込んでおり、結果的に選択と集中ができていないなあと反省します。

 

 ところで、逃げるのが上手い人、難しい仕事は理屈をつけて先送りしたり、人に振ったりしながら、自分のめだつこと、得意なことはすすんで仕事をして評価される人がいますよね。

 こすいなあ、自己中だなあと思っていましたが、これって、自分のもつ資源能力を踏まえた最も合理的な戦略だったのだなあ(全体最適かどうかはともかく ; 苦笑 ; )