My役所ライフ

役所生活30数年のエピソードを通じて、役所でのちょっとした仕事のコツや活き活きと働くヒントを紹介します!

中間管理職の見る景色

 部下がこうしたいという意見をできるだけ尊重したいのが上司の人情。一方、いつも上ばかりみている人もいる。

 

 変な上司がいた。それでいいよって、応援してくれていると思ったら、都合が悪くなる場面になると、くるっと向きを変えて、「それは間違いや。やり方を変えよう」。部下にしたら、心底がっくりする。

 

 ある時、僕自身、部下から執拗にこうしなければなりませんと説明を受け、やや納得しないまま、例の上司に説明し、その上司も通り、トップへ説明にいったことがある。

 トップは、「それはちがうやろ」と一蹴。例の上司も「そうですよね」と手のひらを返す。僕はといえば、部下の手前、何か反論しなければと思ったが、トップのいうことの方が尤もだ。部下を見ると、自分が未熟でした、考えが至りませんでしたとしゅんとしている。

 

 その部下の姿を見たとき、部下と同じ視点で見ていたのが、トップからの視点で見ると景色が違うものだと気付いた。そして、「すいませんでした、もう少し考えます」と引き下がった。例の上司は、その時、部下に固執しないことで両方の景色を見ていたのだ。

 この経験があってから、間違っているなら、自分に固執するだけでなく、時には回れ右して立場を逆にして見てみることも、大事だなあと思うようになった。

 

 中間管理職の仕事は、綱引きの真ん中にいるみたいなもの。上司の目線は大きな目線、一方、部下の目線は現場の目線。どっちを尊重すべきか、引っ張り合う中で、均衡する場所が見つかる。だから、中間管理職は、部下をかばうだけでは正しい答えは見つからない、時には上司の側から綱を引っ張りことも大事。どっちにしろ、同じチーム、最後は同じ方向に綱を引く。トップの前で手のひらを返さなければならない前に、できるだけ、早い段階で、部下とは、しっかり引っ張り合おう。

 もっとも、将来どっちの方向に自分が向くのか、その判断に部下も引き連れて行く以上、部下を守る覚悟がないといけないのだろう。